ゆりかごのある丘から
Kazutoshi Sakurai
草原には優しい風が吹いていて
草花達が一日中ワルツを踊ってた
鳥達の賛美歌を
ミツバチが運んできて
それが僕らの耳元で飛び交ってた
ゆりかごが
そこにはいつも置いて有り
腰掛けた君の揺れる髪を撫でる度
柔らかな香りが僕を包み込み
思わず僕はその髪にキスをする
いつもここで待ち合わせて
君の作った
ランチを食べてたっけ
でも僕が戦場に行っているその間
君は大人になってしまっていて
あの約束を頼りに
生き延びて戻ったのに
君はもう違う誰かの腕の中
そして僕は一人
草原はあの日のままの優しさで
くたびれて
戸惑う僕をそっと包み込む
争いには勝ったけど
大事な物を失くして
一体僕は何をしていたんだろう
ぼくの肩に頭のせた
君の写真ゆりかごに置いて見て
一度だけ君がくれた
手紙を読み返したら
気付けなかった寂しさが降ってきて
ごめんねとつぶやいても
もうどうなる訳でもなく
切なさがギュッと胸をしめつける
Ah 僕が戦場に行っているその間
君はもう違う誰かの腕の中
そして僕は一人