ファスナー
Kazutoshi Sakurai
昨日 君が自分から下ろした
スカートのファスナー
およそ期待した通りの
あれが僕を締めつけた
大切にしなきゃならない
ものがこの世には
いっぱいあるという
でもそれが君じゃないこと
今日僕は気付いてしまった
きっとウルトラマンのそれのように
君の背中にも
ファスナーが付いていて
僕の手の届かない闇の中で
違う顔を誰かに見せているんだろう
そんなの知っている
帰り際 リビングで
僕が上げてやるファスナー
御座なりの優しさは
今一つ精彩を欠くんだ
欲望が苦し紛れに
次の標的を探している
でもそれが君じゃないこと
想像してみて少し萎えてしまう
もしも ウルトラマンの
それのように
総ての事には
ファスナーが付いていて
僕が背中見せているその隙に
牙を剥ぐつもりでも
信じてみる値打ちは
あると思えるんだ
きっと 仮面ライダーの
それのように
僕の背中にも
ファスナーが付いていて
何処か心の奥の暗い場所で
目を腫らして大声で
泣きじゃくってるのかも
きっと ウルトラマンの
それのように
君の背中には
ファスナーが付いていて
僕にそれを剥がし取る術はなくても
記憶の中焼き付けて
そっと胸のファスナーに
閉じ込めるんだ ah
惜しみない敬意と
愛を込めてファスナーを