ワルキューレの叙事詩
「戦って 戦って その果てにあなたは何を見つける?
どうかあなたは幸せになれますように」
感情の表現は苦手だけど
未来を読ませれば負け知らず
食べてくために少女は剣と盾を手にした
「だって空腹は耐えられない
贅沢は言わないけど 時には美味しいものだって食べたい」
折れそうなほど細く白い腕で
次々と敵の首を刎ねてゆく
やがて軍勢となってこの国
最強を謳う騎士団へと成り上がる
「若さは武器だお肌もぷるぷるだ
老いると体がついてこない例えやる気に満ち満ちていても」
たまに笑うととても綺麗で
言い寄る男は後を絶たず
でもそもそも愛する それがよくわからない
「ひとりのひとを愛することも難しいのに
世の中には複数のひとを愛せる者も居ると聞くすごい」
もっともっと高く屍を積むんだ
そうすることが正義だと信じた
いつしか戦う機械と化してた
感謝の押し売り そうなっても構わない
「やるべきことは多いほどいい忙しいうちが華だ
あの頃は強かった あん時のおめーはすごかった
なんて閉鎖空間で語り合っていたくはないだろう
だからやろうやろうなんでも引き受けようさあかかって来い」
報賞もお礼も山ほどもらった
それの使い方もわからない
「年収は何千万かを越えるともう幸福度は上がらないらしい
そっち側の人間になるのは幸か不幸か 少なくとも不幸ではないか」
見惚れるほどの速さは幻覚か
風を纏い今日も縦横自在
急にその体が空高く舞う
上半身だけが転がった
純粋なほど気高く生きたきみ
飽くなき期待に応えようとした
あの時愛を知ろうと生きてたら
もしかしたらこの場所はベッドで
柔らかな毛布の中 二度寝してる
「この物語からあなたは何を学ぶ?
それでもあなたは戦い続ける? 愛することもおざなりにして」