夏気球
Jun Maeda
日差しは容赦なく
まぶた越しに届いた
政治もわからないのに
新聞を待つ朝
あの夏は彼方に
声は届くだろうか
消えないでほしいから
ずっとずっとって言うよ
背中を小突くのは
母のかける掃除機
夢もわからないのに
作文を書く午後
あの夏が彼方に
二度と戻れないのに
行かないでほしいから
ずっとずっとって言うよ
もっとそばで見ててよ
あれもこれも出来るんだ
活字苦手も直り
少女は大人になった
あの夏は彼方に
まだ遊び足りなくて
眠りたくないから
待って待って駄々こねてばかり
あの夏よ彼方へ
まだそこで待ってるなら
ずっと消えないでほしいから
言うよ ずっと居てって
あの夏は彼方に
古い作文のように