雪だより
Yumi Matsutoya
赤いダウンに腕をとおしたら
それは素敵な季節のはじまり
山の雪だより
サッシのベランダ
想いは屋根を越え
去年スキーで出会った人から
淋しい部屋に絵葉書とどいた
ふいの贈りもの
木枯らしに乗って
ポストに舞い降りた
いっしょにすべる約束を
忘れずにありがとう
すぐにたずねてゆくわ
まぶたが痛いほどの白い村へ
失恋したの少し前
あなたに話しましょう
そして粉雪けって
ふもとの谷へ急ぐ風になるの
エッジのキズを息かけてみがく
それは素敵な季節のはじまり
山の雪だより
机のラジオにじっと耳をよせた
冬ごとにとどく
やさしいラブレター
冬ごとにとどく
せつないラブレター