消息
Yumi Matsutoya
向い側 ホームの端に
あのひとが立っていた
雨降りの線路を隔て
みずいろのセーターがうるんで
呼べずに呼べずに 風が来て
私の背中を発車の笛が押した
知るひとは燃えつきたと思うでしょう
今はもう 連絡もとることなく
行きつけの店もなく それでも
愛して愛していることを
ガラスにもたれた瞳を読みとって
そのとき苦しみが 消えてゆくのを見た
呼べずに呼べずに 時は去き
電車はカーヴで煙った点になる
愛して愛しているうちに
私はあなたのグレイの汚染になる
呼べずに呼べずに 時は去き
電車はカーヴで煙った点になる
愛して愛しているうちに
あなたは私のグレイの汚染になる
呼べずに呼べずに 時は去き
電車はカーヴで煙った点になる
愛して愛しているうちに
私はあなたのグレイの汚染になる