潮風にちぎれて
Yumi Matsutoya
泳ぐにはまだはやい
よせ来る波 くるぶしまで
あなたの好きな このサンダル
なぜはいてきたんだろう
砂浜にうちよせた
木ぎれひろい 沖へ投げた
あなたと歩いた年月を
けちらしてみたかった
なぜ泣けないのかな
ひどく淋しいのに
吹きすさぶ潮風に
あなたは息を止めていた
かわいい彼女のこと
これから自由に愛しなさいよ
国道に止まってる
小さな車 指さして
うそでも わたしは背をむける
恋人が待ってると
今ふりむいたなら
心くじけるから
吹きすさぶ 潮風に
わたしは まぶた閉じていた
あなたと来なくたって
わたしはもとから この海が好き