霧雨で見えない
Yumi Matsutoya
なつかしさに ぼんやりバスを降りた
橋の上 霧雨の水銀燈
探しはしないと誓った
忘れた日はなかった
まつげに停まった光が
ふるえて 見えない
歩きだせば 追い越すヘッドライト
長い影 生まれては消えてゆく
きらったのじゃないと云った
すぐ戻ると信じた
胸に降り続く光が
あふれて 見えない
時よ速く流れて 雨よひくく流れて
淋しさを呼びさますこの世界を
どこかへ消して
探しはしないと誓った
忘れた日はなかった
まつげに停まった光が
ふるえて 見えない
きらったのじゃないと云った
すぐ戻ると信じた
胸に降り続く光が
あふれて 見えない