大連慕情
Yumi Matsutoya
アカシヤのかおりが 今も少し漂う
母にあてた手紙 きのうみつけた
黄ばんだびんせんに そそぐ陽ざしさえぎり
雀遊ぶ影は 果てない空へ
返事はついたのですか 遠い日の異国へ
父よ あなたに似合ったでしょう 春の大連
丘の上のベンチ ひとり海を見てると
船出のざわめきが せつなく遠く
陸風がふくころ 港は暮れなずむの
あなたが生きてたら そぞろ歩こう
面影は月のように おぼろに見え隠れ
今も たずねれば会えそうな 秋の大連
返事はついたのですか 遠い日の異国へ
父よ あなたに似合ったでしょう 春の大連