iki
Masaya Mifune
着なれないシャツの 襟を正して
読みかけの本の 続きを忘れて
睫毛の影は 世界を覆って
悴んだ耳は ちぎれてしまいそう
唇だけが やたらと赤くて
皮の手袋の 臭いにやられて
雨に濡れた 地面のような
君の瞳を 恐れないように
暗闇の中で 僕らは白い息を
できる限り 夜に混ぜてゆく
さっきまであんな 楽しそうだった
全ての音たち 吸い込まれてゆく
拙い僕らの 足音だけ響く
凍ってしまった 君を砕く
暗闇の中で 僕らは白い息を
できる限り 夜に混ぜてゆく
暗闇の中で 僕らは白い息を
できる限り 夜に混ぜてゆく