夢のあとに apres un reve
宝野アリカ
しずかな夜に
眠りかけるのを
そっと揺り起こす
月の指先よ
失くしたはずの
ぬくもり
思い出すようで
おやすみ おやすみ もう
おやすみ 胸の欠片(かけら)
明日は 明日は やさしいから
夢のどこかで
出会いし人の
その移り香を
いつまでもさがすよ
真白い百合が
似合うでしょう
恋の柩には
さよなら さよなら もう
さよなら 遠い昨日
明日は 明日は やさしいから
ほのかに青く
刻は降りつもる
草に埋もれし
日時計の上にも
きれいな影絵が
窓で
手招きをしても
お眠り お眠り もう
お眠り 胸の欠片
二度と 二度と
目覚めぬよう
さよなら さよなら もう
さよなら 遠い昨日
明日は 明日は やさしいから