夕凪の街
Motohiro Hata
夕凪の街で 不意にバスを降りたんだ
大好きだった君と暮らした街
神社まで続く 桜並木の途中で
君によく似た誰かを見つけたから
あれからずっと 振り返ってばかり
すぐに結びついてしまうよ
海猫の声が遠く響いた
彼等はどこへ向かうつもりだろう
あの日も空を見上げて
つないでた手は ほどけて
さよならもうまく言えないままで
僕らは途切れたんだ
潮騒が 胸の鼓動 掻き消していった
もう聞こえない 思い出の中でしか
これからきっと 君以上に
好きな人になんて出会えない
止まったまま 動けない影が
暮れてく夕陽に形を変えるだけ
ありもしない羽をイメージして
飛べたら君に会えるって
今でもこんな夢みたいなこと
考えてしまうんだよ
あの日の空を重ねて
届かない手を 伸ばして
つぶやいた僕のさよなら
君にも 聞こえているのかい
夕凪の街で 不意にバスを降りたんだ
大好きだった君と暮らした街