プール
Motohiro Hata
陽射しは 水の底まで
折れ曲がるようにして届いた
そこにまるで探していたものが
あったかのようにね
水色のフィルターを通して
僕は世界を見ていた
揺らぐ視線のずっと先に
繰り返される悲しみも
目映い夏の風は 穏やかに過ぎてく
やわらかな波に たゆたう痛みを置き去りにしながら
楽しそうに笑う子ども達
光のプールが包みこむ
僕は季節に浮かんだままで
ただただそれを眺めていた
はしゃぎすぎる時間と
その向こう側にある静寂
夢と現実の狭間で
あなたの声が聞こえた気がした
目映い夏の午後に いつか朽ちてく時
永遠なんてない だからこの瞬間が愛しく思えるんだ
手と手が触れて二人 顔を見合わせた
光のプールに沈み込む
きっと僕らがつかみたかったものは
こんなありふれた日常なんだ
楽しそうに笑う子ども達
光のプールが包みこむ
僕はあなたを離さないように
強く強く抱きしめた
強く強く抱きしめた