早春譜
仁井谷俊也
北の海の 流氷(こおり)が溶けて
永い冬から 目覚める頃
風よ...雲よ... 夕陽の色が
残雪染めてる
羅臼(ラウス)の岳(やま)よ
都会(まち)の暮らしに
すりきれた心
やさしく やさしく 迎えておくれ
若さゆえに 遠まわりした
過去の荷物を 忘れにきた
月よ...星よ... 旅人たちを
静かに見守る
羅臼(ラウス)の岳(やま)よ
季節(とき)にはぐれて
凍(い)てついた心
愛しく 愛しく 包んでおくれ
名前も知らぬ 小さな花が
北の砂丘を 彩(いろど)る頃
空よ...鳥よ... 朝陽を浴びて
凛々(りり)しくそびえる
羅臼(ラウス)の岳(やま)よ
明日(あす)に旅立つ 迷いなき心
笑顔で 笑顔で 送っておくれ