斯く美しき造花

Toukasa

仇花は心の奥に
気付かれて終わないように
誰よりも無機質であり
美しくあれ

壊れない理想を描くとき
誰かの眼差しを瞞す
嫋やかな感情から
この声は迸る

呼吸ができないまま抱えた痛み
解けずに絡み合う造花のように
何処へも行けず彷徨えないのならば
鮮やかなモノクロに染まっていく

手に残る僅かな香さえ
偽りの意味だとしても
頭から爪の先まで
馨しくあれ

宵闇 夢を見る
時計の針とナイフは
耽美に踊りだす
机上で為さる遊戯を

厭世 流れ込む
浮世に満ちた嫌悪が
纏わりつくならば
気泡と化せば良いのに
消えてしまえばいいのに

汚れない理想を描くなら
全ての存在は瞞し
今 触れる空想から
この声は迸る

呼吸ができないまま抱えた痛み
永遠に咲き誇る造花のように
必然として混ざり合うこの色が
鮮やかなモノクロに染まっていく

仇花は心の奥に
気付かれて終わないように
誰よりも純白であり
美しくあれ

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