24歳

井上苑子

もやっとした曖昧な空気に
明るく差す光が
無理に笑う自分みたい

だらっとした背筋と足元は
暗くなった街並みに救われた

水際ではしゃいだあの頃
憧れるほどに眩しかったあの子も
どうせ きっと 何かを抱えてるんだろう

ぼんやり描いていた大人は
こんなんじゃなかったけど
困難を生きてる
どんより浮かぶ冬の雲が
いつの間にか消えていったみたいに
晴れますように
少しずつ少しずつ 

靄かかる 遠くは見えなくて
足元に咲いた花に救われた

水色 地下鉄に揺られて
帰りの道が寂しさを連れてきた
今日は なんか
ひとりになりたくなかった

ぼんやり描いていた大人は
こんなんじゃなかったけど
困難を生きてる
どんなに上手く繋いでても
いつの間にか解ける気がしたんだ
気がしていた

ゆっくり進んだっていいって言われたんだ
それでも何故か走ってる自分がいた
なりたい人になりたくて
求めすぎていたの
今わかった
僕を知った
だからもっと

ぼんやり描いてた大人は
こんなんじゃなかったから
音をかき鳴らし続ける
どんなに弱くても心は
信じられることだけを
守って生きていこう

風が宙を舞う
想いを乗せて歌う

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