歩く男
松井五郎
上り坂はどこまで続く
長い雨にどれだけ濡れる
背負う荷物は 重たい
落とし穴がいくつもあれば
吐いた唾は自分にかかる
鉛の靴は 脱げない
たった一度できることを
どんなときも探しながら
遠い風の方へ 歩け
報われないと愚痴こぼすより
悲しくたって笑っていれば
導く星は 消えない
たった一度出逢うものを
どんなときも守りぬいて
遠い空の方へ 歩け
まっすぐ行って道がなけりゃ
まっすぐ行って道を作れ
がっかりして泣いてないで
たった一度できることを
どんなときも探しながら
遠い風の方へ 歩け
苦しいほど上り坂なら
虹に生まれ変わる雨なら
まだまだ先に 行くかい