昭和
新司 谷村
自いハンケチ 胸に飾りて
母と歩いた この道
桜、花びら ひとひらおちて
まばたきの間に 時はゆく
学舎は朽ちて 思い出は還らず
今 ひとたびの 夢をたぐれば
琥珀のアルバムに 友の笑顔
父が愛した 自転車の背に
夕陽が沈む 裏露路
迷い子の犬と 駆けたその後
見上げた空の 赤トンボ
食卓を囲む 家族のほほえみよ
今 ひとたびの 夢をたぐれば
悲しく遠ざかる 祭りのあと
我が袖にあそぶ 蛍はいま何処
行きて帰らぬ 時よ 流れよ
嗚呼 儚き春よ 昭和の夢
嗚呼 儚き春よ 昭和の夢