冒険者たち
元春 佐野
土曜の午後
仕事で車を走らせていた
ラジオに流れるR&B
昔よく口ずさんだ
メロディー
友達今、いろんな想い
すべてを伝えきれないまま
冬のある日
夜明け近く恋人のもとを離れた
誰かがどこかで
眠れぬ夜明けを見つめている
誰もが心に
見知らぬ夜明けを抱えている
彼女は今、うつむいている
言葉が闇をすり抜ける
ひとつのキスを重ねるごと
静かな雪が降りつもる
仲間のひとりは口を閉じて
清らかに歩いている
仲間のひとりは瞳を閉じて
いつわりを許している
すべての「なぜ?」に
いつでも答えを求めていたあの頃
いつか自由になれる日を
あてもなく夢見ていた
誰かがどこかで眠れぬ夜明けを
見つめている
誰もが心に見知らぬ夜明けを
抱えている
街の声が聞こえる
にぎやかに奏でる
"Summer time blues"
荷物をひとつにまとめて
明日ここを離れてゆく
土曜の午後
仕事で車を走らせていた
ラジオに流れるサキソフォン
昔よく口ずさんだメロディー
誰かがどこかで眠れぬ夜明けを
見つめている
誰もが心に見知らぬ
夜明けを抱えている
誰かがどこかで眠れぬ夜明けを
見つめている
誰もが心に見知らぬ
夜明けを抱えている