エンベロープ
Kentaro Kobuchi, Shunsuke Kuroda
青色の欠けた 色鉛筆を広げて
海を描くあの子は
夕暮れが来るのを 一人
笑顔で待っている
もし あの子に一つ渡すなら
青色のそれじゃなく
好きな色に 空が染まるまで
寒くはないようにマフラーを
時間だけが包み込む色
影の向きで 光を感じる
凹んだ心は 内側からしか戻せない
ブリキの様な壁の中 守っているから
みんな一緒だと思ってた
あの子はそうじゃないから
シャボン玉の様な心に
乾いた指で触れないで
同じ雨と 涙に濡れた
この指先でなら運べる
壊さずに包み込んでいよう
いつか君が 光を描く日まで
きっと あの子が持ってる宝物は
鮮やかなそれじゃなく
悲しい色をぼかす消しゴム
消えない思い出にマフラーを
優しい風を捕まえながら
歩いて行け 自分色の空へ