グッドモーニング
繁 岸田
夜行バスは新宿へ向かう
眠気とともに灯りは消えてゆく
君の腕枕で眠る
夜行バスは新宿に着いた
予定より三十分早く冬の
真夜中のようさ
白い息は道標にもなりゃしない
やけに広い横断歩道手を引き渡る
何処へ向かう何処へ向かう
早朝喫茶は夜の
香り男女は音楽の話
女の方が趣味がいいね
早朝喫茶夜が明けて
街を見下ろすコートの
群れは色とりどり
行き交う電車の渋滞
君は眠る不安残るまなざしで
僕の上着を枕にして
手があたたかい
口づけをした口づけをした
夢は歩むここから始まる
スクランブルは広がってゆく
そこらじゅうに
歩いてゆく歩いてゆく