夏の終り
Kazumasa Oda
夏は冬に憧れて 冬は夏に帰りたい
あの頃のこと今では
すてきにみえる
誰れよりも なつかしいひとは
この丘の空が好きだった
あきらめないで うたうことだけは
誰れにでも朝は訪れるから
やさしかった恋びとよ
そのあと何をいいかけたの
ぼくの言葉があなたを
さえぎるように
こぼれたあの時
駆けぬけてゆく夏の終りは
薄れてゆくあなたの匂い
今日はあなたの声もきかないで
このままここから帰るつもり
そっとそこにそのままで
かすかにかがやくべきもの
決してもういちど この手で
触れてはいけないもの
でも あなたが私を愛したように
誰れかをあなたが
愛しているとしたら
あゝ時はさらさら流れているよ
夏は冬に憧れて 冬は夏に帰りたい
あの頃のこと今では
すてきにみえる
そっとそこにそのままで
かすかにかがやくべきもの
決してもういちど この手で
触れてはいけないもの